こんにちは!
GrowVaLスタッフです。
今回は
「世界共通の教育の未来、「ウェルビーイング教育」とは?」
というテーマでお話をさせていただければと思います。
この記事で
・今話題の「ウェルビーイング教育」とは何か。
・なぜ今「ウェルビーイング教育」が必要なのか。
・日本の教育ではどのように取り扱っているのか。
をご説明します。
前編と後編に分けてお話させていただきます!
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皆さんは「ウェルビーイング教育」という言葉をご存じですか?
英語で書くとwell-beingと記します。
簡単に言うと、精神的にも、身体的にも、社会的にも「良い(well)」状態を指します。
人間が感じている一瞬の感情的な幸福とは異なり、
個人のみならず社会全体としての幸福であること、
「経済的な豊かさ」だけでなく、「精神的な豊かさや健康」などの次元まで拡げて広く捉えていること、
を指しています。
このウェルビーイング教育が、
現在先進国の間で、教育の最重要目的として掲げられているのです。
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〇なぜ世界でウェルビーイング教育が注目されているのか
OECDが行うPISA(生徒の学習到達度調査)で2015年に初めて、
世界の国々で、生徒の生活満足度調査が行われました。
PISAとは学習到達度を測定するものであり、
「読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー」
の3つの分野についての学習到達度を測るものです。
日本のそれぞれの結果は
読解力は8位
数学的リテラシーは5位
科学的リテラシーは2位
という結果でした。
※72か国54万人が参加
この結果だけ見ると、日本の教育水準は高いように感じます。
しかし、今回は「生徒の生活満足度調査」として
質問調査を通じて生徒の主観的な,生活全般における満足度を尋ねました。
出典:OECD(2017)より国立教育政策研究所が作成。
72か国の中でも
日本の生活満足度調査の結果は、世界の平均よりも低い結果となりました。
このデータだけでは「日本の子どもたちが幸せではない」
と結論付けることはできないですが、
少なくとも子どもたちの生活に関する満足度が低い、というのが数値化されてしまいました。
日本では、
偏差値、IQ、数値で測れるもの(=認知能力)が重視されてきました。
しかし、AIやテクノロジーが急速に発達している現代社会では
様々な環境や仕組みへの適応ができるか、
社会の一員としての幸せを考えられるか、
物事に対して前向きな姿勢を見せることができるか、
など
内面的な力(=非認知能力)を育むことが大事と考えられるようになってきました。
その結果、ウェルビーイング教育が注目されているのです。
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〇ウェルビーイング教育では何が行われるのか
OECDではこの調査と並行して、
Education2023プロジェクトを進めています。
予測困難な不確実性の高い時代を生きていくこれからの子どもたちに対して、
どのような知識、スキル、態度・価値が必要かを考え、
2030年までに必要な能力を再定義しました。
その結果完成したのがこの「ラーニングコンパス」です。
※OECD ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030
この図で注目しなければいけないのは右上です。
2030年の教育のゴールは「ウェルビーイング」であり
生徒が幸福で充実した人生を送るために必要な働き・能力を育むこと
であると定義されました。
国や学校によって
「ウェルビーイング教育」
「メンタルヘルスリテラシー教育」
等名称が変わりますが、
共通点としては以下のようなことを学んでいきます。
・他者と仲良くやっていくために大事なこと
・困難に直面した際にどうやって乗り越え、成長の糧に変えていくか
・目標に向かってやり続ける力
・自己基盤(自分とは何か)の形成
・自分について広く、深く理解する
もっと簡単に言うと
「協調性」「コミュニケーション力」「主体性」「創造性」「探究心」
等にあたります。
要するに
非認知能力を育むことこそが
幸福で充実した人生を送るための手段であると考え
教育に取り入れ始めているということです。
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〇日本の教育での非認知能力の育成について
2020年度に学校で使用する学習指導要領が改訂され、
その中に
「育成すべき資質・能力」の1つに
「学びに向かう力、人間性等」が含まれました。
またその影響で、非認知能力を育むために
各学校で「探究学習」の授業が始まりました。
※探究学習についての詳細は
コチラの記事もお読みください。
このように日本にもウェルビーイングにつながる、
非認知能力の育成を目指す動きはありますが、
実際に行われている探究学習はどの学校も迷走していることが多いです。
大学生メンターによる放課後学習支援などで
教員の働き方改革をサポートする株式会社トモノカイは、
2022年7月に
「総合的な探究の時間」に関してのアンケート調査を行いました。
「探究学習」の指導経験がある教員の約5割が
「生徒からの質問に答えるために情報を調べる時間や、
大学の研究室などに問い合わせるネットワークがない」
と答えました。
※出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000005633.html
このように日本の教育における非認知能力の育成は
まだまだ他の国に追いつくための努力が必要
ということがわかります。
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今回はここまで!
後編では世界の国々での実践例など
などをお話していきます。
=この記事のポイント=
A世界の平均よりも日本の学生の生活満足度が低くなってしまっている。
Bその解決策としてウェルビーイング教育による非認知能力の育成が注目されている。
C日本での非認知能力の育成はまだまだ発展途上である。
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